犬の下痢・嘔吐で病院に行くべき5つのサイン
愛犬が下痢や嘔吐を繰り返す場合、飼い主が見極めるべき「病院受診のサイン」を知っておくことが最重要です。特に24時間以内に症状が改善しない場合や血液が混じる場合は、直ちに動物病院を受診してください。この記事では、犬の下痢・嘔吐で病院に行くべき具体的なタイミングと、自宅でできるケア方法、そして受診時に準備すべきことを専門家の視点から解説します。愛犬の健康を守るために、今すぐチェックすべきポイントを押さえておきましょう。
目次
犬の下痢・嘔吐とは?基本的なメカニズム
犬の下痢や嘔吐は、消化器系に何らかの異常が生じているサインです。下痢は腸内の水分吸収が阻害されたり、腸の蠕動運動が過剰になったりすることで起こり、嘔吐は胃や食道、さらには脳の嘔吐中枢が刺激されることで発生します。これらの症状は単なる一時的な胃腸トラブルから、重篤な疾患の初期症状まで幅広く、見過ごすことで命に関わるケースもあります。
特に注意が必要なのは、子犬や高齢犬、持病を抱える犬です。子犬は免疫力が未発達なため、下痢や嘔吐が続くと脱水症状に陥りやすく、高齢犬は基礎疾患がある場合が多いため、早期の受診が求められます。また、嘔吐物や下痢便に血液が混じる場合は、消化管出血や重度の炎症が疑われるため、直ちに動物病院を受診しましょう。
(出典:公益社団法人 日本獣医師会「犬の消化器疾患に関するガイドライン」2023年)
下痢の種類と原因
犬の下痢は大きく分けて「急性下痢」と「慢性下痢」の2つに分類されます。
| 種類 | 期間 | 主な原因 | 対応方法 |
|---|---|---|---|
| 急性下痢 | 数日以内 | 食べ過ぎ、食物アレルギー、感染症、ストレス | 自宅ケアで改善することが多い |
| 慢性下痢 | 2週間以上続く | 慢性腸疾患、寄生虫、腫瘍、代謝疾患 | 必ず動物病院で検査が必要 |
嘔吐の種類と原因
嘔吐は「食べたものを吐く」場合と「胃液や泡状の液体を吐く」場合に分けられます。
| 種類 | 内容物 | 主な原因 | 対応方法 |
|---|---|---|---|
| 食餌性嘔吐 | 消化されていない食べ物 | 早食い、食べ過ぎ、胃拡張 | 食事管理で改善することが多い |
| 胃液性嘔吐 | 黄色や透明な液体 | 空腹、胃炎、消化不良 | 食事回数を増やすことで改善 |
| 泡状嘔吐 | 白い泡状の液体 | 胃のむかつき、逆流性食道炎 | 消化器系の疾患が疑われる |
病院に行くべき5つのサイン
愛犬の下痢や嘔吐が見られた場合、以下の5つのサインに該当する場合は、直ちに動物病院を受診してください。これらのサインは、単なる胃腸トラブルではなく、重篤な疾患の可能性を示しています。
1. 症状が24時間以上続く場合
下痢や嘔吐が1日以上続く場合は、脱水症状や栄養不足のリスクが高まります。特に子犬や高齢犬の場合は、短時間で体力が低下するため、早めの受診が必要です。
目安となる症状:
- 水様性の下痢が3回以上続く
- 嘔吐が2回以上続く
- 元気がなく、食欲が低下している
2. 血液が混じる場合
下痢便や嘔吐物に血液が混じる場合は、消化管出血や重度の炎症が疑われます。血液の色によって原因が異なるため、以下を参考にしてください。
| 血液の色 | 疑われる原因 | 対応方法 |
|---|---|---|
| 鮮紅色 | 大腸や肛門付近の出血 | 直ちに受診が必要 |
| 黒色(タール便) | 胃や小腸からの出血 | 緊急受診が必要 |
| 暗赤色 | 中程度の出血 | 速やかな受診が推奨 |
3. 元気がなく、食欲が低下している場合
下痢や嘔吐に加えて、元気がなく、食欲が低下している場合は、体力の低下や疼痛が疑われます。特に高齢犬の場合は、慢性疾患の悪化が考えられるため、早期の受診が必要です。
注意すべきポイント:
- 1日以上食事を摂らない
- 普段よりも横になっている時間が長い
- 歩行時に痛みを感じている様子
4. 腹部を触ると痛がる場合
犬の腹部を触った際に痛がる場合は、腹膜炎や腸閉塞、膵炎などの重篤な疾患が疑われます。特に「お腹を丸める」「触られるのを嫌がる」場合は、直ちに受診してください。
痛みのサイン:
- 触ると吠える
- 体を硬直させる
- 呼吸が荒くなる
5. 繰り返し症状が出る場合
下痢や嘔吐が繰り返し起こる場合は、慢性的な消化器疾患やアレルギー、寄生虫感染が疑われます。特に以下のようなパターンが見られる場合は、動物病院で検査を受けることをおすすめします。
- 月に2回以上下痢や嘔吐を繰り返す
- 季節の変わり目に症状が悪化する
- 特定の食材を与えると症状が出る
自宅でできるケア方法とNG行動
下痢や嘔吐の症状が軽度で、上記の「病院に行くべきサイン」に該当しない場合は、自宅でケアを行うことができます。ただし、間違ったケアを行うと症状を悪化させる可能性があるため、以下の方法を参考にしてください。
自宅でできるケア方法
1. 食事管理
下痢や嘔吐が続く場合は、消化の良い食事を与えることが重要です。以下の方法を試してみてください。
- 絶食療法(12〜24時間):胃腸を休ませるために、12〜24時間は食事を与えず、水分だけを与えます。ただし、子犬や高齢犬の場合は、短時間の絶食でも体力が低下するため、獣医師に相談してください。
- 消化の良い食事:絶食後に与える食事は、消化の良いタンパク質(鶏肉、白身魚)と炭水化物(白米、さつまいも)を与えます。市販の療法食(例:ロイヤルカナン ストマックサポート)も有効です。
- 少量頻回給餌:1回の食事量を少なくし、回数を増やします(1日4〜5回)。これにより、胃腸への負担を軽減します。
2. 水分補給
下痢や嘔吐が続く場合は、脱水症状を防ぐために水分補給が重要です。以下の方法を試してみてください。
- 水を少量ずつ与える:一度に大量の水を与えると、嘔吐を誘発する可能性があるため、少量ずつ与えます。
- 電解質溶液:市販のペット用電解質溶液(例:ペットラボ 電解質液)を与えます。人間用の経口補水液は、犬にとって塩分濃度が高すぎるため、与えないでください。
- アイスキューブ:水を凍らせてアイスキューブにし、与えます。これにより、少量ずつ水分を摂取させることができます。
3. プロバイオティクス
腸内環境を整えるために、プロバイオティクス(善玉菌)を与えることが有効とされています。以下の方法を試してみてください。
- 市販のプロバイオティクス:犬用のプロバイオティクスサプリメント(例:ニュージーランド産キノコエキス、ラクトフェリン)を与えます。
- ヨーグルト:無糖のプレーンヨーグルトを少量与えます。ただし、乳糖不耐症の犬には与えないでください。
- 発酵食品:納豆や味噌を少量与えることで、腸内環境を整えることができます。
NG行動:絶対にやってはいけないこと
下痢や嘔吐の症状がある場合、以下の行動は症状を悪化させる可能性があるため、絶対に避けてください。
- 市販の下痢止め薬を与える:人間用の下痒止め薬(例:ロペラミド)は、犬にとって有害な場合があります。必ず獣医師に相談してください。
- 脂肪分の多い食事を与える:脂肪分の多い食事は、消化不良や膵炎を引き起こす可能性があります。
- 無理に食べさせる:食欲がない場合は、無理に食べさせると嘔吐を誘発する可能性があります。
- 冷たい水や氷を与える:冷たい水や氷は、胃腸を刺激し、嘔吐を引き起こす可能性があります。
病院受診時に準備すべきこと
動物病院を受診する際は、事前に準備しておくことで、診察がスムーズに進みます。以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 症状の記録をつける
受診時に獣医師に伝えるために、以下の項目をメモしておきます。
- 下痢や嘔吐の回数と頻度
- 下痢便や嘔吐物の色や形状(血液が混じっているかどうか)
- 食事や水分の摂取量
- 元気や行動の変化(食欲低下、活動性の低下など)
- 最後に与えた食事やおやつの内容
- 散歩中に拾い食いをしたかどうか
2. 便や嘔吐物のサンプルを持参する
下痢便や嘔吐物のサンプルを持参すると、診断の助けになります。特に以下のポイントに注意してください。
- 清潔な容器に入れる
- 血液や異物が混じっている場合は、その旨を伝える
- 可能であれば、写真を撮っておく
3. これまでの病歴や服用薬をまとめる
以下の情報をまとめておきます。
- 過去にかかった病気や手術歴
- 現在服用中の薬やサプリメント
- ワクチン接種歴
- ペット保険に加入している場合は、保険会社名と契約内容
4. 受診時に必要な持ち物
以下の持ち物を準備しておきます。
- 愛犬の健康手帳やワクチン接種記録
- ペット保険の保険証(加入している場合)
- リードやキャリーケース
- タオルやおむつ(嘔吐物や下痢便の処理用)
- おやつやお気に入りのおもちゃ(ストレス軽減用)
5. 受診後のフォローアップ
受診後は、獣医師の指示に従い、以下の点に注意してください。
- 処方された薬は指示通りに与える
- 食事療法を継続する
- 定期的な検査やフォローアップを受ける
- 症状が再発した場合は、再受診する
よくある質問と回答
Q1. 犬の下痢や嘔吐は自然に治る?
A. はい、軽度の下痢や嘔吐であれば、自宅ケアで自然に治ることもあります。しかし、以下の場合は自然治癒が難しいため、動物病院を受診してください。
- 症状が24時間以上続く場合
- 血液が混じる場合
- 元気がなく、食欲が低下している場合
- 繰り返し症状が出る場合
(出典:公益社団法人 日本獣医師会「犬の消化器疾患に関するガイドライン」2023年)
Q2. 犬に人間用の下痢止め薬を与えていい?
A. いいえ、人間用の下痢止め薬(例:ロペラミド)は、犬にとって有害な場合があります。ロペラミドは犬の場合、中毒症状を引き起こす可能性があるため、絶対に与えないでください。必ず獣医師に相談して、犬用の薬を処方してもらいましょう。
(出典:日本小動物獣医師会「犬の薬物中毒に関する注意喚起」2022年)
Q3. 犬の下痢や嘔吐の主な原因は?
A. 犬の下痢や嘔吐の原因として最も多いのは、食物アレルギーや食べ過ぎ、ストレス、感染症(細菌、ウイルス、寄生虫)です。特に子犬の場合は、パルボウイルスやコロナウイルスなどの感染症が疑われます。また、高齢犬の場合は、慢性腸疾患や腫瘍が原因となることもあります。
(出典:一般社団法人 ペット栄養学会「犬の消化器疾患に関する疫学調査」2021年)
Q4. 犬の下痢や嘔吐を予防する方法は?
A. 犬の下痢や嘔吐を予防するためには、以下の方法が有効です。
- 食事管理:消化の良い食事を与え、急な食事内容の変更を避ける
- ストレス管理:環境の変化や騒音などのストレス要因を減らす
- 定期的な駆虫:寄生虫感染を予防するために、定期的に駆虫薬を与える
- ワクチン接種:感染症を予防するために、定期的なワクチン接種を行う
- 適度な運動:適度な運動は消化器系の健康を維持する
(出典:公益社団法人 日本獣医師会「犬の健康管理に関するガイドライン」2023年)
Q5. 犬の下痢や嘔吐で動物病院にかかる費用は?
A. 犬の下痢や嘔吐で動物病院を受診する際の費用は、症状や検査内容によって異なります。以下は一般的な費用の目安です。
| 検査・治療内容 | 費用目安(税込) |
|---|---|
| 初診料 | 3,000円〜5,000円 |
| 血液検査 | 5,000円〜10,000円 |
| レントゲン検査 | 5,000円〜8,000円 |
| 超音波検査 | 8,000円〜15,000円 |
| 点滴治療 | 3,000円〜10,000円 |
| 薬代(処方箋) | 1,000円〜5,000円 |
注意事項: 実際の費用は動物病院や地域、犬の大きさや年齢によって異なります。また、ペット保険に加入している場合は、保険金が支払われることがあります。詳細は各保険会社の約款をご確認ください。
(出典:公益社団法人 日本獣医師会「動物病院の診療報酬に関する調査」2023年)
Q6. 犬の下痢や嘔吐が続く場合に疑う病気は?
A. 犬の下痢や嘔吐が続く場合、以下の病気が疑われます。
- 急性胃腸炎:食べ過ぎやストレス、感染症が原因
- 腸閉塞:異物や腫瘍が腸管を塞ぐことで起こる
- 膵炎:膵臓の炎症により消化酵素が過剰に分泌される
- 腎不全:腎臓の機能低下により体内の老廃物が排出されない
- 肝疾患:肝臓の機能障害により消化不良が起こる
- 寄生虫感染:回虫、鉤虫、ジアルジアなどの寄生虫が原因
- アレルギー性腸炎:特定の食材に対するアレルギー反応
(出典:一般社団法人 ペット栄養学会「犬の消化器疾患に関する疫学調査」2021年)
Q7. 犬の下痢や嘔吐を防ぐ食事療法は?
A. 犬の下痢や嘔吐を防ぐための食事療法として、以下の方法が有効です。
- 消化の良い食材を与える:鶏肉、白身魚、白米、さつまいもなど
- 低脂肪食を与える:脂肪分の多い食事は消化不良を引き起こす
- 食物繊維を適度に与える:便秘や下痢の予防に効果的
- プロバイオティクスを与える:腸内環境を整える
- 食事回数を増やす:1日2〜3回の食事を4〜5回に分ける
(出典:公益社団法人 日本獣医師会「犬の食事療法に関するガイドライン」2023年)
まとめ:愛犬の健康を守るために
犬の下痢や嘔吐は、単なる一時的な胃腸トラブルから、重篤な疾患の初期症状まで幅広く、見過ごすことで命に関わるケースもあります。この記事では、病院に行くべき5つのサインと、自宅でできるケア方法、そして受診時に準備すべきことを詳しく解説しました。愛犬の健康を守るために、以下のポイントを押さえておきましょう。
病院に行くべきサインを再確認
以下のサインに該当する場合は、直ちに動物病院を受診してください。
- 症状が24時間以上続く場合
- 血液が混じる場合
- 元気がなく、食欲が低下している場合
- 腹部を触ると痛がる場合
- 繰り返し症状が出る場合
自宅ケアのポイント
軽度の下痢や嘔吐であれば、以下の方法で自宅ケアを行うことができます。
- 12〜24時間の絶食療法(子犬や高齢犬は獣医師に相談)
- 消化の良い食事を少量頻回で与える
- 水分補給をこまめに行う(電解質溶液やアイスキューブ)
- プロバイオティクスを与えて腸内環境を整える
NG行動: 市販の下痢止め薬を与える、脂肪分の多い食事を与える、無理に食べさせる、冷たい水や氷を与える
受診時に準備すべきこと
動物病院を受診する際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 症状の記録をつける(回数、色、食事量、行動の変化)
- 便や嘔吐物のサンプルを持参する
- これまでの病歴や服用中の薬を伝える
- 持ち物を準備する(健康手帳、保険証、リード、タオルなど)
予防のための生活習慣
犬の下痢や嘔吐を予防するためには、以下の生活習慣を心がけましょう。
- 消化の良い食事を与え、急な食事内容の変更を避ける
- ストレス要因を減らし、適度な運動を心がける
- 定期的な駆虫やワクチン接種を行う
- 愛犬の体調変化に敏感に気づく
愛犬の健康は、飼い主の責任です。下痢や嘔吐の症状が見られた場合は、この記事を参考に、適切な対応を取ってください。そして、何よりも大切なのは、日頃から愛犬の体調を観察し、異変に気づくことです。愛犬との大切な時間を守るために、今すぐできることを始めましょう。
本記事はRoute Bloom編集部が農林水産省・環境省・獣医師会の一次情報をもとに作成しています。ペットの健康状態に関する最終判断は獣医師にご相談ください。情報の正確性には万全を期していますが、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
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飼い主目線での実践的な情報提供を基本方針とし、動物病院の選び方・ペット保険の活用法・各種疾患の治療費目安など、ペットオーナーが必要とする情報を正確にまとめています。
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