室内猫がかかりやすい病気と予防方法を獣医師が解説
猫を飼っている方にとって、愛猫の健康は何よりも大切なことでしょう。特に室内で飼育している猫は、外の世界と隔離されているため「病気にかからない」と思われがちですが、実は室内猫だからこそ注意が必要な病気も多く存在します。猫の寿命は年々延びており、一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2023年の猫の平均寿命は15.33歳(出典: 一般社団法人ペットフード協会「令和4年(2022年)全国犬猫飼育実態調査」)と、かつてよりも長生きするようになりました。その一方で、高齢化に伴い慢性疾患や生活習慣病のリスクも高まっています。
この記事では、室内猫によく見られる病気やその予防方法について、獣医師の視点から詳しく解説します。愛猫の健康を守るために、ぜひ参考にしてください。また、万が一病気にかかってしまった場合の対処法や、ペット保険の活用方法についても觜触れていきます。
目次
- 室内猫がかかりやすい病気とは?
- 1. 泌尿器系の病気
- 2. 代謝性疾患
- 3. 呼吸器系の病気
- 4. 消化器系の病気
- 5. 皮膚疾患
- 1. 定期的な健康診断
- 2. バランスの取れた食事
- 3. 適度な運動とストレス管理
- 4. 室内環境の整備
- 1. 早期発見・早期治療の重要性
- 2. 獣医師への相談タイミング
- 1. ペット保険の仕組みとは
- 2. 猫に適した保険プランの選び方
室内猫がかかりやすい病気とは?
室内飼育の猫は外敵から守られている一方で、運動不足やストレス、生活習慣の乱れなどから特有の病気にかかりやすくなる傾向があります。以下では、室内猫に多い病気について、その特徴や原因、症状を詳しく解説します。
1. 泌尿器系の病気
猫の泌尿器系の病気は、特に室内飼育の猫に多く見られます。ストレスや水分摂取不足、食事内容などが大きく関係しています。
1-1. 猫下部尿路疾患
猫下部尿路疾患(Feline Lower Urinary Tract Disease, FLUTD)は、猫の膀胱や尿道に炎症や結石ができる病気の総称です。室内猫に多く見られ、特に成猫や高齢猫で発症リスクが高まります。
主な原因
– ストレス(多頭飼育、環境の変化など)
– 水分摂取不足
– 高リン・高マグネシウムの食事
– 肥満や運動不足
主な症状
– トイレに行く回数が増える
– トイレ以外の場所で排尿する
– 血尿が出る
– 排尿時の痛みで鳴く
– 元気がなくなる
治療法
– 食事療法(尿をアルカリ化する食事や、尿石の種類に応じた処方食)
– 薬物療法(抗生物質、鎮痛剤など)
– ストレス管理(環境の改善、フェロモン療法など)
– 手術(尿道閉塞の場合)
予防法
– 十分な水分を摂取させる(ウェットフードの給与、水飲み場の設置)
– ストレスを軽減する環境づくり
– 定期的な健康診断
出典: 公益社団法人 日本獣医師会「猫の下部尿路疾患(FLUTD)について」
1-2. 尿石症
尿石症は、猫の尿中に含まれるミネラルが結晶化し、膀胱や尿道に石ができる病気です。FLUTDの一種とされることもありますが、尿石の種類によって対処法が異なります。
主な尿石の種類
| 尿石の種類 | 主な原因 | 好発年齢 | 主な治療法 |
|————|———-|———-|————|
| ストルバイト結石 | アルカリ尿、高リン・高マグネシウム食 | 2〜6歳 | 食事療法、手術 |
| シュウ酸カルシウム結石 | 酸性尿、高カルシウム食 | 7歳以上 | 食事療法、手術 |
| 尿酸アンモニウム結石 | 遺伝的要因、肝機能障害 | 若齢猫 | 食事療法、薬物療法 |
主な症状
– 血尿
– 頻尿
– 排尿困難
– 元気消失
予防法
– 尿のpHを適切に保つ食事(尿検査で確認)
– 十分な水分摂取
– 定期的な尿検査
出典: 一般社団法人 ペット栄養学会「猫の尿石症に関するガイドライン」
2. 代謝性疾患
室内猫は運動不足や高カロリーな食事によって、肥満や糖尿病にかかりやすくなります。
2-1. 糖尿病
猫の糖尿病は、インスリンの分泌不足や作用不足によって血糖値が上昇する病気です。特に中高齢の猫や肥満猫で発症リスクが高まります。
主な原因
– 肥満
– 高炭水化物・高カロリーの食事
– 遺伝的要因
– 膵炎や他の疾患
主な症状
– 多飲多尿
– 食欲はあるのに体重が減る
– 元気がなくなる
– 後ろ足の力が弱くなる(重症化した場合)
治療法
– 食事療法(低炭水化物・高タンパクの食事)
– インスリン注射
– 体重管理
予防法
– バランスの取れた食事
– 適度な運動
– 定期的な健康診断
出典: 公益社団法人 日本獣医師会「猫の糖尿病について」
2-2. 肥満
猫の肥満は、糖尿病や関節疾患、心臓病などのリスクを高めるだけでなく、寿命を縮める要因ともなります。室内飼育の猫に多く見られ、飼い主の与える食事や運動量が大きく関係しています。
肥満の判定基準
– 理想体重の15〜20%増加
– 腹部の触診で脂肪がつまめる
– 肋骨が触れにくい
主な原因
– 過剰なカロリー摂取
– 運動不足
– 遺伝的要因
– 去勢・避妊手術後の代謝低下
合併症のリスク
– 糖尿病
– 関節炎
– 心臓病
– 肝リピドーシス(脂肪肝)
予防法
– 食事量の管理(フードのパッケージに記載された給与量を守る)
– 適度な運動(おもちゃ遊び、キャットタワーの設置)
– 定期的な体重測定
出典: 一般社団法人 ペット栄養学会「猫の肥満管理ガイドライン」
3. 呼吸器系の病気
室内飼育の猫でも、アレルギーやウイルス感染によって呼吸器系の病気にかかることがあります。
3-1. 喘息
猫の喘息は、気管支が炎症を起こし、呼吸困難や咳などの症状が現れる病気です。アレルギー反応やストレスが引き金となることが多いです。
主な原因
– ハウスダストやタバコの煙などのアレルゲン
– ストレス
– 気候の変化
主な症状
– 咳(特に夜間や興奮時)
– 呼吸困難(横腹を使った呼吸)
– 呼吸音が荒い
– 元気がなくなる
治療法
– ステロイドや気管支拡張薬の投与
– アレルゲンの除去
– ストレス管理
予防法
– 室内の清潔を保つ(こまめな掃除、空気清浄機の使用)
– ストレスを軽減する環境づくり
– 禁煙
出典: 公益社団法人 日本獣医師会「猫の喘息について」
3-2. 猫カリシウイルス…
猫カリシウイルス感染症(FCV)は、猫カリシウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症です。特に多頭飼育の環境や、ワクチン未接種の猫で感染が広がりやすくなります。
主な症状
– くしゃみ
– 鼻水
– 口内炎
– 発熱
– 関節炎(まれ)
治療法
– 抗生物質(二次感染の予防)
– 対症療法(鼻水や口内炎の緩和)
– 栄養管理
予防法
– ワクチン接種(混合ワクチンに含まれる)
– 衛生管理(こまめな掃除、消毒)
出典: 公益社団法人 日本獣医師会「猫カリシウイルス感染症について」
4. 消化器系の病気
室内飼育の猫は、食事内容やストレスによって消化器系の病気にかかりやすくなります。
4-1. 慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease, CKD)は、腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。猫の場合、特に高齢猫で多く見られますが、若齢猫でも発症することがあります。
主な原因
– 加齢
– 高タンパク・高リンの食事
– 歯周病などの慢性感染症
– 遺伝的要因
主な症状
– 多飲多尿
– 食欲不振
– 体重減少
– 毛並みの悪化
治療法
– 食事療法(低タンパク・低リンの処方食)
– 輸液療法
– 血圧管理
予防法
– 定期的な血液検査・尿検査
– バランスの取れた食事
– 十分な水分摂取
出典: 公益社団法人 日本獣医師会「猫の慢性腎臓病(CKD)について」
3匹の猫(キジトラ・ミケ・サバトラ)を17年間飼育。ペット保険を2社で実際に加入・比較した経験から、愛猫の医療費と保険の選び方を発信。動物病院の選び方・費用相場に精通。

